第2回 国際商流と物流 -アメリカから日本への輸出案件とIncoterms

第2回は、「貿易会社の研修生が上司にアメリカから日本への輸出案件の基礎情報説明を受ける」シュミレーションです。

 

【本シュミレーションの登場人物】
研修生: 貿易会社の研修生
上司: 貿易会社の上司

 

*もし文中の 5W (Who, What, When, Where, Why), 1H(How)の意味がわかりない方は、物流実勢講座 第1回をご覧ください。第1回はこちらから!

 

 

上司: 先日、日本のBoeki社(Who)との取引が成立しましたので、その流れを勉強していきましょう。

 

研修生: お願いします。まず何から手を付けていいかわかりません。

 

上司: 今回売買する商品ですが、建築の基礎工事に使用する機械の部品です。

 

研修生: それってどんな機械ですか?(What

 

上司: 取り扱い商品を詳細に知っておくことは営業の時に必須ですので、もう少し詳しく説明しましょう。地面に穴を空け、その中に基礎を補強するためのコンクリートを流しこむ機械です。今回はその部品を提供します。そのHS Code(エイチエス番号)は8431-499095。この番号は日本での輸入関税を決定する大切な番号で、日本のBoeki社から来た情報です。このHS Codeは、通関業者に依頼すると教えてくれます

 

研修生: ありがとうございます。今回のビジネスの流れを説明していただいていいですか?

 

上司: 日本のBoeki社から部品発注依頼(PO/Purchase order)がありました。そのPO番号はB05202017です。この商品は米国内では2つのメーカー(Who)が製作しています。当社はこの2つのメーカーとは以前にも購買経歴があり、それぞれの所在地はシカゴとロスです。ABC社との貿易IncotermはC & F名古屋です。(How)発注依頼をみてそれぞれのメーカーに在庫のある部品を注文してください。

 

研修生: CIFということは米国で発生するすべての費用と名古屋港まで(Where)の運賃が当社払いで、この費用をすべて含んだ商品代をBoeki社に請求するということですね。

 

 

CIFとは、インコタームズの支払い条件の1つで、「Cost, Insurance & Freight」の略。到着港まで保険、輸送費は、すべて輸出者の責任という条件です。その他のインコタームズの条件は過去の記事 [対応表!] インコタームズの取引き条件と支払い義務を参照ください。

 

 

上司: そのとおりです。ただし、貨物保険(必要であれば)はBoeki社持ちになります。貿易を始めるにあたってIncoterm(インコタームズ)は大変重要ですので、最初に確認をしておきましょう。よってBoeki社には商品代金に運賃、他の起こり得るフォワーダー等の手数料も含んだ設定をしています。ではその部品の在庫確認と発送可能期日をメーカーに問い合わせてくだい。そして情報が整い次第、順次フレイトフォワーダーに海上運賃の見積もり依頼もしましょう。

 

研修生: 今回のビジネスにはBoeki社と当社、そして、このメーカーとの間で2つの契約が当社として発生するということですね。

 

上司: ということになります。メーカーによっては価格設定が米国内であれば発送費用込の場合もありますので、それも確認してください。

 

研修生: 両メーカーに確認しましたところ、 メーカーAは発送費用は含まれていませんでした。シカゴの倉庫まで取りに来るようにとのことです。メーカーBは国内配送であれば、その輸送費は価格に含まれているとのことです。両社とも在庫の確認は取れました。

 

上司:  発送および引き取りはいつできますか?

 

研修生: 一週間ほどで準備ができるとのことです。

 

上司: 次に両メーカーにPOの情報に基づいて発注をかけ、そのすべての箱の 寸法と重量、そして海外出荷のためのパレット積みにした場合、何パレットになるかを聞いてください。そしてそのパレットの商品を含んだ寸法と重量も聞いてください。

 

研修生: メーカーAへ発注したItem番号はB12345-1が500ケース、B12345-2が500ケース、C54321-1が500ケースで、合計のパレット数は5パレットで各パレットの寸法は40” x 48” x 60”になるそうです。

 

上司: メーカーBのほうはどうですか?

 

研修生: B12345-3が500ケース、C12345-2が500ケース、C12345-3が500ケースで、パレット数とその寸法はメーカーAと同数になっていました。

 

上司: メーカーBが国内配送費用込ということですので、メーカーAに近い倉庫に配送してもらえば、メーカーAからの当社のピックアップ費用が節約できますね。そのように名古屋向けの出荷手配をしましょう。フォワーダー に運賃の見積もりを取りましょう。

 

研修生:  海上運賃の見積もりですね。

 

上司: そうです。10パレットですので、「20’コンテナ」と「混載」の両方の運賃見積もりの依頼をしてください。

 

研修生: 質問です。一か所に集める場所はどこにすればいいですか?

 

上司: いいところに気づきましたね。それではメーカーAに近いシカゴでの倉庫、混載サービスと運賃、そして20’のコンテナの運賃の対応ができるフォワーダーを探して下さい。

 

研修生: もう一つ質問です。コンテナへの積み込みもそのフォワーダーにお願いしていいですか?

 

上司:  はい。そうしてください。積み込みの依頼をする際は、商品、各パレットの重量、総重量、パレット数、各パレットの寸法、また二段積みが可能かを聞かれますので、インボイスとパッキングリストを作成しながら準備しておいてください。

 

研修生: その書類はなにをもとに作成すればいいですか? 参考にできる見本かひな型があれば助かるのですが?

 

上司: 会社、業種によって異なるひな型がありますが、当社が使用しているフォームを参考にしてください。(関連書類参照―インボイス、パッキングリスト)

 

研修生: ありがとうございます。シカゴで倉庫業務の対応をしているフォワーダーが見つかりましたので、電話してみます。

 

上司: いい練習になりますので、まず電話してみてください。