目次
1. Incoterms(貿易取引条件)
物流つまり物の流れは商流つまり貿易ビジネスのインコターム(Incoterms)取引条件によって様々に変化します。 下記のインコタームの表はその支払い義務がどこにどのように発生するかを表しています。
似通った内容に戸惑いますが、要は商流上、どこまで、誰が支払いの義務を負うかを明確にするために制定された、条件です。これは買い手と売り手の間で決定されます。又、LC(Letter of Credit)/信用状という銀行が仲介する支払い方法もあります。その過程で発生する物流費は商売を決定する際に重要な費用の比重を占めています。
Incoterm | EXW | FCA | FAS | FOB | CFR | CIF | DAT | CPT | DAP | CIP | DDP |
Loading on truck (carrier) | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Export customs Declaration | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Carriage to port of export | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Unloading of truck in port of export | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Loading charges in port of export | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Carriage to port of import | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Unloading charges in port of import | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller | Seller |
Loading on truck in port of import | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller |
Carriage to place of destination | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller | Seller |
Insurance | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller | Seller | Seller |
Import customs clearance | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller |
Import taxes | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Buyer | Seller |
発生する支払い内容は下記のようになります。
- XW (Ex-work) : 出荷倉庫から搬出されてからのすべての費用は輸入者払い
- FCA (Free Carrier):搬出費用、輸出通関関連費用以外はすべて輸入者払い
- FAS (Free Alongside ship):通常はコンテナ以外で、Breakbulk、重量物等のカーゴ取り扱いで船に乗せるところからすべて輸入者払い
- FOB (Free on Board):船、飛行機にのってからすべて輸入者払い
- CFR (Cost & Freight):到着港まで輸出者の支払いあとはすべて輸入者払い
- CIF (Cost, Insurance & Freight):到着港まで保険、輸送費はすべて輸出者の責任
- CPT (Carrier paid to):輸出者が指定された倉庫および港まで保険以外の支払い義務あり
- CIP (Carrier, Insurance paid to):CPTに保険が含まれた場合
- DAT (Delivered at Terminal):輸出者の責任で指定された倉庫、港等まで搬送そして荷下ろしまで
- DAP (Delivered at Place):輸出者の責任で指定された倉庫、港等まで搬送そして荷下ろし含まない
- DDP (Delivered duty paid):関税、税金、すべての費用を指定仕向地まで輸出者の責任地で輸送
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
2. 防衛、治安管理から発生したISF(Import Security Filing)
米国で一番忙しいロスアンゼルス港ロングビーチ港見学は以前はターミナル内のツアーも案外簡単でしたが、2001年以降は安全、防衛警備のために中までの訪 問は大変難しくなりました。その原因は、2001年9月11日に発生したあの悲惨なアメリカ同時多発(4件)テロ事件です。航 空機等を使用した史上最大規模のテロ事件で、全世界に衝撃を与えました。また、厳しくなった米国の警備の身近なものでは、空港での手荷物検査、レントゲン検査等。輸入貨物のISFのファイリングの義務付けもこれ以降の発案です。米国に輸入される海上貨物と米国を経由して第三国に輸送される貨物について、米国税関国境警備局(CBP)が電子的な事前申告義務を課したもの。輸入者またはその代理人に10項目、船社に2項目の申告を要求しており、通称「10+2 Rule」という。そのファイルの情報源は輸出者である。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
3. ロスアンゼルス港ロングビーチ港独自の費用―Pierpass FeeとClean Truck Fee
サンペドロ湾(ロングビーチ港とロスアンゼルス港)付近の排ガス環境改善のための税金です。これは米国内ではロングビーチ、ロスアンゼルス港のみに発生する費用です。Pierpassはロングビーチ・ロサンゼルス港湾混雑緩和策を指す私企業名。2005年7月23日より実施。本緩和策は、ターミナル作業時間を延長し、その延長費用を、Pier Pass社によってPier Pass Feeを貨物の所有者より徴収することでその費用をまかなうことを骨子としています。Clean Truck Feeはロスアンゼルス、ロングビーチ港だけに発生する、排ガス環境改善のための費用。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
4. 米国輸入時に起こるCustoms Bondって?
輸入ボンドには年間(継続)ボンド (Continuous bond) とシングルボンド (Single Bong) があります。このボンド (Customs Bonds) は掛け捨て保険のようなもので、インボイス価格が$2500以上の輸入時に、不具合な事態が生じても関税およびすべての税金の支払いを米国税関に保証するものです。年間継続ボンドを購入すれば年間をとおして毎回起こるボンド費用を削減できます。シングルボンドは輸入通関毎に発生します。このボンドは通関業者を通して購入ができ ます。年間ボンドを保持していると、毎回発生するISF Bond 費用とImport bond費用の支払いが年間ボンド購入費用の中に含まれますので、輸入頻度の多い荷主には必須です。ちなみに、ISF Bond費用は$65前後、Import Bond費用はインボイス価格の$1000ごとに$5でミニマムが$50。年間ボンドは$500前後。(これらの金額は会社によって異なる)
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
5. 米国海上規定運賃をコントロールするFMC
海上運賃は船社およびNVOCCの義務で、FMC(Federal Maritime Commission-連邦海運委員会)に運賃のファイルが必須です。新しい運賃および値上げの時は30日、値下げの場合はファイルに1日を要します。運賃のファイルを怠った場合ペナルティーがかかることもあります。ファイルされていない場合、その運賃は使用できません。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
6. 米国発の輸出通関は簡単 !
日本とは違ってごく簡単になっています。お客様が直にもできますが、通常はForwarder業者が代行しています。AES(Automated Export System)と呼ばれ米国通関へのオンラインで本線出港24時間前までの対応になります。許可制というよりは、報告制、認可性です。それ以外にもAFR(Advanced Filing Rules)という工程があり、船積み24時間前までに日本国通関に貨物明細を提出しなければなりません。これは各会社によって使用しているシステムで対応しています。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
7. 航空貨物をTSAがコントロール
米国ではTSA(安全保安局)という機構が大変厳しく航空便の安全と保安を規制しています。航空運賃でパッセンジャー機を使用する際は、シッパーにTSA Certificate(TSA証明書)が無ければ出荷できません。その証明書の取得にTSAの調査が事前にあり、取得には1~3ヶ月かかりす。一方、カーゴ専用機ですと、顧客が使用するフォワーダーがTSA Certifiedであれば顧客が証明書を取得していなくても出荷できます。業界用語でKnown Shipper(ノンシッパー・認知されているシッパー)であればすでにTSAの承認があるということになります。そのフォワーダーは年に最低一度TSAの査定が入ります。また、航空貨物を取り扱うすべての会社および個人がTSA Certifiedの必要があります。空港へ輸送するトラック会社と運転手、搬入先の倉庫会社、倉庫で搬入を対応するスタッフ、および輸出担当等々です。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
8. 米国内輸送の主流はトラックだが。。。
活動範囲の広さと柔軟さ、長短距離の費用対効果が高い理由で輸送貨物価値総額はトラック輸送が圧倒してます。鉄道を含む複合輸送(インターモールド輸送)は輸送量においてはトラックをしのぎます。特にトラックが使用するディーゼル燃料費が上昇した時、および国際貿易が活発になった際に増加します。鉄道とトラック輸送の使用コンテナは53‘が多用されます。
*参照:「国際物流の面白さ・怖さ」
9. 米国の港湾労使交渉は米国の経済を揺さぶる
記憶に新しいところではアメリカの西海岸で2014年から2015年に掛けて行われた労使交渉はじつに8ヶ月にわたる長期のものとなった。労働者側は戦術としてのストの実施は行われず、熟練オペレーターの温存、コンテナの本船からのスローオペレーションなどの示唆行動を展開。一方、経営者側は夜荷役の中止など労働時間の短縮などで対抗。結果、双方の妥協点が見出せず長期化。事態の悪化を危惧する各種団体は政府に事態の好転を働きかえるも大きな進展を見ることはなかったが、最終的には経営者側の大幅な譲歩によってようやく双方の合意に至り契約は妥結された。スローオペレーションや夜荷役の中止によって港湾作業は停滞し、結果的に港に着岸できない船が港の沖合いに数日停泊を余儀なくされた。それによって荷主や物流会社、、船会社が蒙った被害は甚大である。その契約も2019年まで有効で、2019年には再交渉となる。また、東海岸は2018年に契約が更新される予定である。
*参照:「Shipfanブログ」
10. 海上混載輸送での米国CFSでの輸入と輸出の倉庫費用の大きな違い
米国から輸出する際にCFSへ搬入して混載便で輸送する際の倉庫の作業費用はほぼ無料です。その費用は海上運賃に含まれているという理解です。ただ輸入の場合は反対に多くの費用が掛かります。因みに、ロングビーチ向けですと、Handling Charge, Clean Truck Fee, Pierpass fee, Chassis fee, CFS charge 等になります。到着港によって異なりますので確認は必須です。